95.不機嫌な面倒嫌い --------------------



城島は不機嫌そうに頭を掻く。
立て続けに響く銃声音3発、そして暫く経った後の一発…嫌でも目が覚めてしまったからである。
「あの馬鹿…うるせーんだよ…」
この森にいるのは由伸、宮本、和田の三人なのは双眼鏡で確認済みであり
考え無しに発砲する奴といえば、面子的に和田しかいない。
「暫く寝ようと思ってたけど…あいつ、合計5発発砲したわけだよな。」
今、和田は弾倉が空になった意味の無いミネベアM60を持っている。
そして今、自分の手元にあるのは補充用の銃弾。
これは今が行動する時ではないか…
銃を奪える最大のチャンスであり、一番簡単に奪えるチャンスでもあった。
「どうせ後々面倒の一つや二つしなきゃなんないしなぁ…」
なら、今行動をするべきかもしれない。
弾丸の無い銃を持つ和田など楽勝であり簡単にその銃を奪う事もでき、殺す事もできるかもしれない。
「ああでも面倒くせぇ…まぁ一度面倒な事をクリアしておくと、後々楽だしな…」
どうすべきか。ふらりと城島は立ち上がると、双眼鏡を構える。
「おいおい…こっちにやって来るかぁ?」
そこに映るのは混乱状態で走る和田の姿があった。
それは城島を目的とするというよりも、単に混乱により周りが見えぬまま、
思考も定まらないまま走っているようであった。
「…これは動けってことか?ま…いずれ殺し合いも騙しあいもしなきゃなんねぇかもしれないんだし…」
思いきって動くべきかもしれない。
面倒なのを堪え一度動けば意外とアクティブになれるものかもな、と城島は肩を竦める。
「あーあ…面倒だな。」
和田が死んでくれりゃ手間省けるとは思っていたが、
和田を殺そうと考え始める自分もまたなんとも面倒な存在だろう。
「本当、どいつもこいつも何もかも…面倒くせぇ。」
ぼそりと呟き、城島は顔をあげる。もはやその瞳には何の色も映らなかった。

【城島健司(9)D-2】




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