68.大きく変わる運命 --------------------



岩瀬はいくつかの銃声で目を覚ました。
目を擦りながら間延びする。
この島に着いてからすぐに体力温存のために眠りに就いたが
銃声が耳に入りあまり長い時間の睡眠時間を得ることはできなかった。

「なんだか銃声が多いよなぁ…」

岩瀬はぼーっとした声で呟く。少しばかり眠気が残っていたが早々に出発の準備を始めることにした。
現状ではあまり自分の行動については決めてはいない。ただ流れるままに行動している。

島に着いた直後に岩瀬がバッグの中身を確認したところ、何の変哲もないフライパンが入っていた。
恐らくこれが岩瀬の武器なのだろう。

(…こんな物、武器になるのかな…。)

そんなことを考えているとバッグの中のある物が岩瀬の目に入った。

「あれ?さっきこんなの入ってたかな…?」

そう言って取り出したのは黒光りの小さな箱型の機械のようなもの。

「なんだろう…?」
「岩瀬、岩瀬聞こえるか!」
「うわぁ!」

その機械から突然声が聞こえ思わず手を離してしまう。

「岩瀬!聞いているのか岩瀬!」
「ほ、星野さん!?」

機械から聞こえた声は紛れもなく星野の声であった。

「こ、これなんですか…」
「無線だ、これから言う話をよく聞け」
「は、はい…!」

岩瀬は突然の星野との会話に戸惑いをみせるが星野の口調の強さに思わず素直に返事をしてしまった。

「あのバッグの中の一つに実は無線をいれてあった。それを引き当てたのが岩瀬、お前だった。
 これも運命と思って、是非こちら側に協力してもらいたい」
「協力…ですか?」
「そうだ、協力をするのならばそれ相応の武器と命の保障を与える。悪い話ではないだろう?」

武器。

その言葉になぜか強く心が引き付けられる。

「…協力って何をすればいいんでしょうか?」
「メジャー志望のある選手を重点的に殺してもらいたい。それと高額年俸者もだ。
 まぁ、協力する、しないもお前の自由なのだがこの島から生きて帰ることが一人だということを忘れるなよ」

突然の星野からの申し出に岩瀬は動揺を隠しきれない。この返事一つですべてが決まってしまう。
随分と長い沈黙を経て出てきた言葉。


「…わかりました…。
 僕は、そちら側に協力させていただきます」


その言葉はこのゲームの運命を大きく変える。

【岩瀬現在地、E-6】




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