55.警告 --------------------



 三浦大輔は、ゆっくりと草むらから体を起こした。
 手にするライフル・・・レミントンM700の銃口からは細く白い煙が立ち上っている。

 とりあえず今は、これでいい。
 少なくとも一人はやる気になっていることを知らせるために、わざとサイレンサーもつけずに撃ったのだ。
 的にするモノは別に何でも良かった。
 結果として道を歩いていた犬を狙ったのは、
 鞄の中に入っていたライフルを組み立て終わったあと、たまたま目に付いたからに他ならない。
 弾が命中しているわけはあるまいが、もし生きて会うことがあったらアイツには謝っておこう。

「・・・生きて会うことがあったら、か。」
 ふふん、と鼻で笑った。

 生き残りたいなら、俺の前から姿を消すことだ。
 次は、誰だろうとはずさない。

 三浦は鞄を背負いまっすぐ前を見た。
 砂浜から続く道の先には何軒か家が立っている。

「さて、どこへ行くかな。サイレンサーもつけたいし・・・。」




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