44.最初の死 --------------------



「なお、私達の指示には、必ず従って頂く様によろしくお願いします。もし、従って頂けない場合には、恐ろしい事態になりますので・・・」
司会の女性の優しい声からは想像の付かない言葉が発せられた。
「恐ろしい事態って何だ?」
「面白い冗談だな」
参加者の一部からは、このような発言が相次いだ。
このような緊張感の無さに、仙一がキッと司会者の女性の方を見つめた。
「改めて言います。私達の指示には従って頂きます様にお願い致します。」
司会者の女性が声を荒げた。この言葉は船の中の空気を一変し、船の中はざわめき始めた。
「俺達は、中学生じゃないんだぞ」
「俺達は楽しむために、このパーティに来たんだぞ」
「こんな船の中にいれるか」
語句を荒げる参加者達。
一向にざわめきは収まりそうにない。ましてや、「打ち上げ」「メジャー」と勘違いした参加者にとっては想像だにしない事態が発生している。
この混乱の中、一人の男が、皆を黙らせるように大きな声を発した。
そう、皆が認めるこのチームのリーダー宮本(Ys6)である。宮本は、仙一を睨みつけながら、
「星野監督、あなたは私達に何をさせるつもりだ。」
普段の礼儀正しい宮本からは想像できない態度だ。この異様な空気に宮本も普通ではいられなかったのであろう。
宮本は、仙一のほうをじっと見つめたまま、視線をはずさない。仙一も宮本から視線を外さなかった。しばらくの沈黙が続く・・・
どのぐらい沈黙が続いたのだろうか・・・・・・・・・そしてついに、仙一が立ち上がった。
「君たちは、オールプロとして初めてオリンピックに行った。国民全員が期待していたであろう。
 そう、光り輝くゴールドのメダルを。君たちは努力した。それは認めよう。
 で、結果が銅メダル。これが何を意味するか分かるかね。
 国民の期待を裏切ったんだよ、君たちは。その落とし前はつけてもらわねばなるまい」
「私達に責任を取れとおっしゃっているのですか」
ある選手が仙一に向かって叫んだ。
「・・・・・・・そうだ・・・・・・・・・不必要な人間は野球界にはいらない。」
仙一のこの言葉に船の中は凍りついた。
仙一は、選手達をみたまま動かない。仙一のこの態度に選手達は様々な反応を見せている。
仙一を見つめたままの者、帰ろうとする者、酒を手にする者、周りの選手の様子を伺う者、表情さえ変えない者・・・・・・・・
選手達の反応は千差万別である。
仙一が秘書の女性にある指示をだしている。そして、モニターに一人の男が映った。
そう、アテネメンバーでありながら、この五輪会には参加していない唯一のメンバー中村紀である・・・・・・・・・
仙一「君たちには殺し合いをしてもらう」




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