35.勝手な思い込み --------------------



 「着いた着いたえらい大きい船やなぁ。それにしてもえらー寒いなぁ。」
19番上原浩治が言った。
「でもなぁ、アメリカにこの船で行くんやろうから当たり前か。」
早速上原浩治は、船の中に入っていった。
係りの女性が「ジャイアンツの上原様ですね。招待状はお持ちでしょうか?」
と言われ上原は、ポケットに入れていた招待状を取り出し
「あぁこれですか?」
と言った。
「どうぞ、お入りください。」
そう言われ周りをキョロキョロしながら奥へ進んだ。
「ダイヤモンド・プリンセス・シーかー。正しく名の通りやな。」
上原浩治は、ターミナルへ行った。
その時、「おう、久しぶりやなぁ上原。」
そう声をかけてきたのはカープの15番黒田博樹だ。
「おう、黒田さんこそ。」
「お前、見取ったでぇ。ちょっとオフテレビに出すぎちゃう?」
と黒田が言った。
「まぁ俺テレビ出る事嫌やないしちょっとしたお小遣い稼ぎにもなるしなぁ。」
そういいながら黒田と談笑をしながら上原は、ある男がまだ来ていない事が
気にかかった。

 同じチームメイトの24番高橋由伸の姿がまだそこには無かった。
上原は、思った。
『あいつ、欠席するつもりやろうか?』
そう思いながら罰則で由伸が罰金を取られている姿を勝手に思い描き
思わず「ふっあいつアホちゃうか?」
そういって噴出した。
『この時点で俺の勝ちやな。』
その時黒田がそんな上原を見て思わず
「お前さっきから独り言言うたりニヤニヤしたりして恐いで。」
「そうやった。」と上原が言った。
しかし黒田が上原の心情を読み取ってたかのような事を言い出した。
「なぁ上原、ちょっと気になった事があんねんけど、お前ちょっと本気か
知らんけど少し同じチームの由伸の事言いやで
今年に入って番組で『由伸むかつく』ってもう2,3回は軽く言うてた
いくら冗談でも度が過ぎるのは、よくないで。」

 その時「どうも上原さん、黒田さんご無沙汰しております。」
近くにいた21番和田毅が話しかけてきた。
「あぁ、久しぶりやなぁ和田とは言うてもお前とはフレパの収録以来やけど」
「そうですねぇ。」
しかしこの男にも上原浩治の言動は不審がられていた。
「何か上原さんさっきから一人でニヤニヤしてて僕が言うのもなんですが
ちょっと恐いですよ。」
「そうやろ、和田お前もそう思うたか。俺もそれ言うたんやけどなぁ、あと
由伸の事言いすぎやで」
と黒田が言った。
しかし和田毅も上原に追い討ちをかけるかのように
「そうですよ、上原さんフレパの収録の時も楽屋でアイツ(由伸)来ないで
良かったとか言ってらしたんですよ。アイツが来るとまたおいしいところ
持ってかれるわ。とか言ってらしたんですよ。」
「せやから冗談やて。毅余計な事言わんといてや」と上原が言った。
しかし和田毅は
「仲良くしてくださいよ、お二人は生年月日も一緒じゃないですか。チーム
メイトの事を言いすぎるのは良くないですよ。お二人とも僕は尊敬してますし。」
しかし上原は俯き和田毅に向かって
「お前みたいな男前のような奴には分からへんやろ。お前にはな―」

 和田毅は、黒田博樹に思わず
「黒田さん、僕上原さんに対して失礼な事言ったでしょうか?」
それに対し黒田は
「あいつ嫉妬心が人より強いだけやから気にせんといて。」
「はぁ。」と言い和田毅は用意してあったソフトドリンクを飲み干した。




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