22.突然の訪問者 --------------------



「これでプロ野球の未来も明るくなるなぁ」
と牛革の椅子に腰をかけた渡辺恒雄前オーナーが言った。

その時ドアをノックする音がした。
「誰だね、こんな時に、まっまさか情報が漏洩したわけじゃないだろうな、
まぁとにかくあけたまえ。」
と渡辺前オーナーが言った。
「はい。」と係の男が言った。

「誰だね。君は?」
「お久しぶりです。渡辺オーナー、星野です。」
そこには星野仙一の姿があった―。

「何だね?星野君何の用かね?たとえ君でももうこの事は決まったことなんだ。
止めにはいろうったってそうはいかんぞ。」
と渡辺オーナーが言った。
ところが星野はそんな言葉を遮るように
「私はこの法案はご尤もだと思いますし、阻止ししようなんて更々
思っていませんよ。」

「どういうことだね?」
と一人の男が聞いた。
「僕は、あの大会で解説をしていました。プロで挑んだにも関わらずなんだ
あいつらのあのざまは?僕は怒りを感じているんです。
あんなんだから日本のプロ野球は舐められるるんです。アメリカには負けても
オーストラリアのリーグもない格下相手に負けて・・・」
星野は横にいた中畑を睨み付けた。

 星野仙一といえばアテネ五輪の日本代表の指揮を取る予定だった長嶋茂雄
監督が倒れた後に監督代理に最有力といわれた男だった。
「私は解説してた立場から言わせていただきますと解説放棄して何度あの
マウンドへ降りようと思った事か、あいつらは見事に日本の野球の醜態を
世界に見せ付けてくれたな。
僕は、BR法は大賛成ですよ。」

 その時BR委員会の一人の男が口を開いた。
「ところでオーナーこのBR法にも勿論指揮官が必要ですよね。」
「あぁ、そうだったな。大事な事を忘れていた。もう中畑なんかには
任せられんしな。」

中畑は、下を見て「大変申し訳ございません・・・。」

 「そのBR法の指揮官この私に任せていただけませんか?」
そう星野は言った。

 星野の突然の発言に渡辺オーナーを始めとする委員会のメンバーがざわついた。
「実は僕この様な罰則があるんじゃないかと思ったらやはり実行されると聞いて
こちらへ駆けつけました。」

 渡辺前オーナーは一瞬考え込んだ末に結論を出した。

 考えた末
 「よし、ここは一つ星野君に任せてみようではないか。異議ある奴はいるか?」

 委員会のメンバーはばらついた口調で「特に異議はありません。」

「これで日本のプロ野球界に本当に誰が必要かが決まるわけだな。
また君のおかげで面白い事になりそうだ。」

 「任せたよ、星野君。」
と渡辺前オーナーが言った。
 「えぇ、期待を裏切りませんよ。」

 「これで日本のプロ野球界は未来が明るい。そういえばBR法のBはベースボールのBだなぁ。」

 星野の発言に張り詰めた委員会の部屋にいた一同が笑い出した。
「ハ、ハ、ハ、」

 勿論こんな声は選手達には届いてはいなかった―




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