11.上原浩治の野望 --------------------



その頃19番上原浩治は、自宅へいた。
勿論上原の所にも例のアテネ五輪会のお知らせの手紙は届いていた。
手紙を見ながら上原は笑いながら
「アハハ、強制参加って何やねんな?
ひょっとしたらこういう場にメジャー関係者が着てたりするんやろうか?
日本は優勝は逃したけど一応強敵キューバに勝ったしその辺のとこ関係者
が見とったんやろうなぁ。」

この男は、人一倍メジャーに対する意識が強い。
この男だけは妙に能天気だった。

この招待状が地獄の始まりとは知らずに―

「やっぱなメジャーの関係者がぎょうさんくるんやろう。こりゃ行かない手は
ないやろ。俺はあいつだけには負けとないからな。」

そうあいつとは、同じ球団で今大会で代表に選ばれた24番高橋由伸の事だ。
上原浩治と高橋由伸は、偶然にも生年月日が昭和50年4月3日と一緒だった。
そのせいもあってか投手と野手の違いとはいえ野球以外の面でも何かと比較
される事が多かった。
年俸を始め毎年送られてくるファンからのバレンタインのプレゼント、ファンレター
の数、そして学歴と―。

時に上原にとって由伸の存在は、目の上のこぶに思えることもしばしばだった。

「俺はあいつにだけは、負けとない。由伸より先にメジャー行ったるからな。」
そう心に決め上原は、アテネ五輪会に出席する決心をしたのだった。




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